KRHさんに聞く。建設現場の足場とは種類について

最終更新日 2025年3月27日 by edgea

建設現場における足場は、文字通り作業を行うための作業スペースで、いわゆる仮設設備の1つに数えられます。
高層ビルやマンションの上階だけでなく、低層でも外壁の塗替えや看板の取りつけなどで幅広く活用されています。
また、予め設置しないと作業を始められないケースは多いので、現場において重要性の高い設備だといえるでしょう。
足場も含めて作業の1つと考えると重要性が理解できますし、工事計画に組み込むことが必要不可欠です。

足場専門のKRH株式会社さんに聞く

当然ですが資材がないと組み立てられないので、資材搬入から計画的に作業の流れを計画する必要があります。
それから作業員が実際に乗り、体重を掛けたり体を預けて作業するものなので、安全対策もまた重要性が高いとKRHも警鐘を鳴らします。
資材をしっかりと組み立てることも肝心ですが、資材そのものの質も大事ですから、災害を防止する為の規則が定められています。
その為、適当に選んだり集めた資材は使えませんし、組み立てや解体に関する資格が存在しているほどです。
建設現場で高さ5m以上の足場を組む場合は、組み立てなどに関する主任者技能講習を修了していることが必要です。
これは作業主任者を選任する上で重要な講習で、作業主任者は必ずこの講習を受けていることが条件となります。
いずれにしても、建設現場では安全に作業できることが何よりも大切なので、資材とその資材を扱う者に関するルールが定められているわけです。
従来は資材に丸太も使用されていましたが、天然素材の丸太は腐食しやすく、内部が腐食していても外から分かりにくいという欠点がありました。
日本で入手しやすい杉やヒノキが建設現場で活躍していましたが、安全性の観点で現在は鉄パイプなどに置き換えられています。
ちなみに、今でも鉄パイプが使えない場所や狭い住宅地、木造の神社仏閣の修理などでは丸太が使用されます。

くさび式は一定の間隔で緊結部が存在する鋼管を支柱に使うタイプ

現在は金属製の資材が主流で、メッキが施された鋼製の資材が一般的に用いられています。
くさび式は一定の間隔で緊結部が存在する鋼管を支柱に使うタイプで、手摺や筋交いなどを支柱の緊結部にくさびで緊結していくのが特徴です。
組み立て作業はハンマー1本で行えますから、複数の工具を使い分ける必要がなく、効率的に組み立ても解体も行うことが可能です。
従来は低層住宅や木造家屋の作業に用いられていましたが、現在は中高層の現場でも選ばれるケースが多くなっています。
組み立てと解体の作業効率が良いので、比較的短期間の補修工事などで活躍します。
部材が分けられていて1つ1つはコンパクトですから、輸送の際に結束できてコストを抑えられます。
作業効率は、他のタイプと比べて20%ほど時間を短縮できるといわれているほどです。
一般的にくさび式は表面に亜鉛メッキ処理が施されているので、腐食しにくく錆に強いといえます。
枠組足場は門の形に溶接されている鋼管の建枠を中心としたタイプで、ジャッキや筋交いと鋼製布板といった部材で構成されています。
活躍するのはビルの外壁作業で、強度が高いことから信頼性も良好で、高層建築の工事で使用されることが多いです。
元々輸入され使い始めたのが最初ですから、規格サイズにはインチとメーターサイズがあります。

組み立てにハンマーを使わないので叩く際に発生する騒音がない

組み立てにハンマーを使わないので、叩く際に発生する騒音がなく、これがメリットの1つになっています。
単管足場は鋼管の単管パイプにクランプを取りつけ、部材を組み合わせて組み立てるタイプです。
構成される部材がシンプルですから、形状を柔軟に決めることが可能で、割と狭い場所でも無理なく組み立てられるのが強みです。
構造が構造なので高層の建設現場には向きませんが、低層の作業においては幅広く活躍しています。
部材の多くはホームセンターでも手に入るので、DIYシーンでも用いられることがあります。
このように、足場と一口に言っても建設現場によって活躍するタイプは異なり、タイプ別にそれぞれメリットとデメリットがあることが分かります。
海外では入手やコストが良いからか、竹が用いられるケースもありますが、安全性を考えるとやはり丸太のようにリスクが高いと考えられます。
この為、先進国では規格化されている鋼製の部材で構成される、安全性の高いタイプが積極的に活用される傾向です。
近年、日本では転落事故の問題に対処する為に、手すり先行工法と呼ばれるタイプの普及に力を入れています。
手すり先行工法は床板の前に手すりを取りつける工法で、逆に解体時には床から先に取り外すのがポイントです。
これにより転落事故が抑制され、より安全に作業が行えるようになりました。

まとめ

上部から吊り下げるタイプやゴンドラ、昇降機能がついているタイプはやや特殊です。
どれも一般的なタイプよりも安全性に関する意識が重要ですし、組み立ても解体も作業時に気を抜くと思わぬ事故に繋がるので、高い意識と技術力が求められます。
日本は災害大国で台風などの強風による倒壊のリスクがありますから、転落防止も重要ですが、天候を考慮しながら組み立てたり作業を行う判断もまた重要となります。